襖について (表具・経師のマメ知識 4)
一口に表具と言っても様々な種類があり、その一つ一つに深い歴史があります。
- 【襖の歴史】
もともと平安時代の掛布団を衾(ふすま)と言々それを掛け広げ仕切に使用した所から、部屋の仕切を襖と言われると言われている。 また襖のことを唐紙(からかみ)とも言われますが、これは中国の唐紙(とうし)を骨の上に張り込んだため、言われるようになった。
室町時代には無地の布紙を張り上げたのを襖・柄物・紋のあるものを唐紙と呼んだようです。 襖障子とも呼びますが、これは明かり障子(一般的に言う障子)に対しての呼び名で、現在ではあまり使われていません。
現在では骨が組子で出来ているものを和襖と言々ますが、耐久性強度においても一番良いとされておりますが、反面、量産できず又高価となるため、 集合住宅や建売戸建住宅にはあまり使用されていません。しかし、日本の気候や張替ての再使用等すぐれた点は他の新建材の襖にはできない点が数多くあります。
ちなみに現在では多様の襖があります。
・チップ襖(大ます組子にボール紙が張られたもの)
・単板襖(ラワン単板を小割したラウンベニヤ骨に張付けたもの)
・SP襖(ダンボールコアを使い組子ではありません。張替はおすすめできません)
・量産スチロール襖(発泡スチロールコアを使い組子ではありません。張替はあまりおすすめできません)
・量産ハニカム襖(ハニカムコア:ハチの巣状になったダンボールをチップボール紙で作ったもの。張替はあまりおすすめできません)
私共の店では、組子・襖・及・板襖までしか取扱っておりません。 - 【襖の取り扱い】
・縁は、折合針やスクリュー針を使い外からは釘が見えないようにして取付ます。 天地は普通柄差(ほぞさし)しますが、上物になりますと鎌柄や蟻柄で落し込みます。
・張り込みは、骨に張り付ける骨縛り(スキ止め)、ベタ掛、蓑貼、蓑押え、袋張等上物には上張りをするまでに片面8枚程の下張受張紙を使用します。 そのため、永年の使用に耐える襖ができますが、現在では一般に3~4回の下張が普通であります。
しかし量産物(ダンボール・発泡・ハニカム等)では上張がそのまま張り込まれていることが多く、 張り替えにもあまり適してはおりません。使い捨てと思われた方が良いと思います。
- 【襖紙の材料について】
襖紙には大きく分けて、紙のみのものと糸入とがあります。
襖紙
紙 -普及品
↓
-高級品
糸入-普及品
↓
-高級品
新鳥の子 洋紙(80%再生パルプ)
上新鳥の子(植物繊維100%)
本鳥の子
(コウゾ・ミツマタの和紙、質感・耐久性とも良)
新沙織(レーヨンおよびスラブ等の織物)
本沙織(丈夫なしっかりとした織物)
シルケット織物(目の詰んだ上質な織物)
天然織物
(耐久性が良く素材を生かした織物、年を重ねるごとに気品を増す)
機械漉き
手漉き
綿更紗
芭蕉布
葛布
【本鳥の子の例】
【葛布の例】